ダニカ・トラスコット
Lecturer on Classical Japanese (Bungo) and Kanbun
ダニカ・トラスコットは上代・中古文学を専門としている日本古典文学の研究者である。2022年にUCLAのアジア言語・文化学科より博士号を取得。
博士論文『Assembling the Man’yō Woman: Paratext and Persona in the Poetry of Ōtomo no Sakanoue』は、『万葉集』に最も多くの歌が残されている女性歌人、大伴坂上郎女を中心に考察を進めるものである。郎女は、万葉集における大きな存在であるにも関わらず、古典文学史や女流文学史における郎女の考慮は今までほとんどなかった。本論文は近年の万葉研究の動向として盛んである「テクスト論」を用いる。特にミシェル・フーコーの「作者機能論」とジェラル・ジュネットの「パラテクスト論」を使用しつつ、女性歌人だけではなく、郎女を大伴氏の代表者として再検討し、その歌を氏族全体の政治的地位を維持するものとして捉える。
ライシャワー研究所では、博士論文の焦点を大伴氏全体に広げつつ改稿し、出版用原稿の執筆を進めて行く。なお、クィア理論に基づいた枠組みを使い、和歌における思慕表現を分析する次のプロジェクトの予備研究を行う。