デイヴィッド・C・アサートン
東アジア言語文明学部准教授
日本文学・文化を専門とし、主に近世文学・演劇を研究。特に文学・演劇がアイデンティティ・コミュニティー・感情・倫理観の形成に及ぼした影響を研究課題としている。現在執筆中の 『Writing Violence in an Age of Peace: Breaking Bodies and Provoking Passions in Early Modern Japanese Literature 』では、大衆文学における「暴力」の表象を検証し、いわゆる「太平の世」と呼ばれた時代に、その時代の革新的な作家らがどのように拷問・敵討ち・殺人などといった行為を表現し、従来の価値観を変えようと試みたかについて検証している。また、大規模な出版市場の出現、書籍と読者の急増、作家の台頭により、近世の時代における文学の創作活動がどのように変化したか、という問いに関する2冊目の書籍の執筆初期段階にある。また同テーマについて執筆した記事『The Author as a Protagonist: Professionalizing the Craft of the Kusazōshi Writer』が2020年秋、日本研究の学術誌「モニュメンタ・ニポニカ」に掲載予定。さらに現在は、井原西鶴の死後の世界を描いた18世紀初頭の作品の研究に取り組んでいる。最新の著作論文では、敵討ち文学にみる「家」の道徳観、また、タイ(シャム)の古典文学における森の表象についても論じている。
2000年ハーバード大学で学士(東アジア学)を取得後、2006年にウィスコンシン大学マディソン校で修士号(タイ古典文学)を取得。2013年コロンビア大学で博士号(日本文学)を取得。コロラド大学ボールダー校にて教鞭をとった後、現職に就任。