森本涼氏がModern Japan History Association Book Prizeを受賞
森本涼氏の著書『Nuclear Ghost: Atomic Livelihoods in Fukushima's Gray Zone』(カリフォルニア大学出版局、2023年)が、Modern Japan History Association Book Prizeを受賞しました。発表内容は下記の通りです。
「森本氏の『Nuclear Ghost』は、およそ10年にわたる福島県沿岸部放射性物質が降下した地域での丹念な参与観察のフィールドワークに基づき、先住民研究の枠組みを用いて『victimhood』、『harm』、『compensation』の概念を解体するものである。森本氏が指摘するように、善意の科学者、学者、芸術家、技術者、ソーシャルワーカーでさえ、被災した個人、家族、地域社会、環境に対して、さまざまな形で害をなしてきた。『atomic victimhood』ではなく、『atomic livelihoods』という概念を用いて2011年3月11日の東日本大震災被災者の実体験に焦点を当てて考察することで、震災後、生活とネットワークの再建に向かう人々の主体性を回復することを試みる。また一方で、国家権力や、東北地方が内なる『植民地』としての経験してきた長い歴史を常に念頭においている。森本氏の鋭い分析の対象は、自身をも含まれる。災害管理の実践と理解についての批評にとどまらない、独創的かつ共感的な視点で著された本書の人類学・日本研究への貢献は極めて大きい。」
現プリンストン大学人類学助教の森本氏は、元RIJSポストドクトラルフェロー(2016-18年)で、2025年春学期RIJS客員研究員としてRIJSに所属しています。
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